一級建築士が建設業界外のスタートアップに行ったワケ

はじめに
自己紹介については下記のページをご参照ください。

NOT A HOTELへの転職

2021年6月28日より、NOT A HOTEL株式会社というスタートアップでArchitectural Design Managerとして働くことになりました。
NOT A HOTELは簡単に言うと、ただ所有するだけだった家、ただ借りるだけだったホテル、この二つを隔てていた境界を取り払い、あたらしい「暮らし」を創造しようとしている会社です。

NOT A HOTELについては、下記のページを参照していただけると!

“独立して設計事務所を開設する” 以外のかたちで、一級建築士が退職エントリを書くというのは、なかなか珍しいのではないかと思う。

NOT A HOTELの社員としては初めての一級建築士にあたるわけだが、なぜ転職先が設計事務所をはじめとした建設業界の会社ではなく、NOT A HOTELなのか。
やや一方的な意気込みも述べつつ、自らの心情を吐露することで、進路の一参考例としてどなたかの助力となれたら嬉しい。

なぜNOT A HOTELに転職したいと考えたのか、理由をいくつか挙げてみたい。

①関われるフィールドの広さ

ル・コルビジェによるLCコレクションや丹下健三による広島の復興都市計画など、家具のデザインから都市計画まで、建築家がその職能の対象としている幅は広範囲にわたる。
しかし、時代が進むにつれて、現在では意匠設計者に加え、家具デザイナー、インテリアデザイナー、プロジェクトマネージャー、都市計画家などその職能は多くの専門家へと細分化されているケースが多い。

まだ事業を立ち上げたばかりのスタートアップで働く報酬の一つは、設計以前の企画・構想やブランディングから、設計以後のサービスローンチや運営にいたるまで、その気になれば自分事として取り組めるフィールドの広さではないだろうか。
これまで、細分化された業務を多く経験してきた自分には、まだ人数の少ない会社において広い視野をもって仕事をしなければならない環境は魅力的に感じた。

NOT A HOTELにおける一つ一つの建築を“木”に例えると、サービス全体としての建築群は“森”だといえる。樹種を選び、剪定を行う“木”のデザインは言うまでもなく重要だが、“森”が一つの生態系として世界観を形成し、美しくあるためにもデザインの力は必要だ。私はNOT A HOTELで、“木”のデザインもやりたいが“森”のデザインにも関わっていきたい。

②新たな暮らし方への挑戦

最初にNOT A HOTELの代表である濱渦さんから「旅するように暮らす」というビジョンを聞いたとき、もういい大人なのにワクワクしてしまう自分がいた。AppleやTeslaのプロダクトに触れたときに心躍ってしまったように、ソフトウェアありきでハードウェア(建築)を創造する世界に強い憧れがあった。
建築や不動産だけでは成立しない、新たな「住」のあり方をつくろうとするチームで自分の専門性を役立てられたら嬉しい。素直にそう思った。

③需要を生む立場

日本には優秀な建築家/設計者が既に溢れるほどいる一方、需要はその数に追いついていない。建築士は国家資格だが、設計事務所の数はコンビニの数よりも多い
そうした状況であるならば、自ら設計も行いつつ、事業者として需要を生む側にも身を投じたい。それがこれまでお世話になってきた建設業界への奉公でもあると思っている。

建築士は設計事務所で設計をするのが正義だという呪い

私は新卒のときから設計事務所で意匠設計者として働いていたものの、2年前に前職へ転職したときから建設業界ではない場所で働いている。

しかし今でも、設計事務所で働く友人たちの活躍を見ると、設計事務所を辞めて建設業界における「THE 設計者」の立場から退いたことが正しかったのかを度々考えてしまう。大学時代から建築家のもとで設計を学び、建築にのめり込んできたからこそ、設計事務所で働く設計者こそが正義だという意識が脳裏に深く刻み込まれている。

自分にとって、これは一種の呪いのようなもので、世の中には様々な価値観があるとわかりつつも、学生時代から持っている古い小さな物差しで、働く場や職能の価値を測ろうとしてしまう自分がいた。

これは揶揄でもなんでもなく、設計事務所で設計を生業にしている人はそれだけで尊敬の念を抱いている。
一方で、同業者のために難しい言葉を使って論考を書き、同業者しか読まない建築の専門誌に向かって作品をつくるような内輪向きの姿勢を勿体ないと思う気持ちも同時に強くあった。
建築士の存在や働き方が多様であることを体現し、もっと多くの人々にとって建築を親しみやすくしたい。そしてその面白さを知ってほしい。

業界と収入の話

建設業界は、オープンデスクという無報酬でのアルバイトや模型作りのための日常的な徹夜など、他の業界から見ると目を疑うような低賃金・長時間労働が常態化しており、そんな働き方に閉塞感を覚えている業界内の人も一定数いると思う。

収入は個人の能力よりも働く場(業界)に影響を受けやすい、と私は考えている。金融業やコンサルティング業への従事者は、建設業で働く人々の1.5~2倍程度平均で稼いでいるが、これは単純に人材の質だけに起因する話ではないと思う。

自らの専門性と働く場(業界)について考えた際に、「営業」や「経理」のような業種に関係なく必要とされる水平的な専門性は業界を跨いだ働き方がしやすい。一方で、「建築士」のような特定の業種に深く関連している垂直的な専門性は、その業界以外で仕事に従事することはかなり少ない。

実はNOT A HOTELの代表である濱渦さんは、社員の平均年収1,000万以上を掲げて起業をしている。

スタートアップでも様々な職種の専門家を雇いながら、その対価を正当に払おうとする代表がいる会社があることを素直に凄いと思ったし、この事業を仲間と共に成功させることで建築士という職業にも良い影響が与えられるかもしれないと思った。

運をつかむために大事なこと

前々職の日建設計でも、前職のWeWorkでも、これまで仕事を共にした上司や同僚は皆、今でも尊敬の念を抱くような人たちばかりで、仕事を通してスキル面だけではなく人としても成長をさせてもらった。

実はNOT A HOTELで働けることになったのも、元々は友人から紹介してもらったことがきっかけだった。誘いがあった当日(深夜1時くらい)にポートフォリオをPDFで友人経由で送付、そしてその日のうちに代表と食事をさせてもらい、その場で採用が決まるというとんでもないスピード転職だった。
もし今「自分の武器は何か」と聞かれたら、僕は「圧倒的な運の良さ」と答えるかもしれない。

ノーベル物理学賞を受賞された小柴昌俊さんは、東京大学を退官する1カ月前の観測で、超新星が発する素粒子ニュートリノをとらえる科学史上の快挙を生んだ。その強運を指摘されると『運はだれにでも等しく降り注ぐが、つかまえる準備をしているのか、いないのかで差がつく』と反論されたらしい。

思い返すと、自分が転職できたのは、NOT A HOTELの話が来る前から事前にポートフォリオを準備していたり、Twitterで副業についてなど日頃から発信していたからこそ巡り合わせることができたチャンスだった。

終わりに

この場では前職であるWeWorkについて詳しく述べないが、WeWorkでは東北初の拠点開発を担当させてもらったり、運営含めたデザインのあり方を形にしていったり、本当に多くのことを学ばせてもらった。

WeWorkといえば、IPOに向けたゴタゴタなどに関するニュースのイメージがある人も多いと思う。当時所属していたチームの8割が解雇されるというような波乱万丈の事態もあったが、事業は上手くいっているときよりも荒波の中の方が学ぶことが多く、経験としては価値があったと思っている。狙ってもできないような貴重な経験をいくつもさせてもらえたことを感謝している。

NOT A HOTELもスタートアップなので、半年後・1年後にどうなっているかなんてわからない。新しい業界で建築士として働く以上全く想定外の未来が起こるかもしれないが、失敗を恐れずにこれからも挑戦をし続けたい。

今後もnoteを書いていくモチベーションになるので、良ければ「スキ」「フォロー」をしてくれると嬉しいです!

在宅の困難事例には、解決しやすいものと解決しにくいものがあるという話

先日、とあるベテランのケアマネジャーさんと話をしていて、「困難事例と呼ばれるくくりのなかでも解決しやすいものと解決しにくいものがありますよね〜」という話になりました。事例検討会と呼ばれるものは各地で開催されていますが、言語化がまだまだな分野だと思いますので、最近スタッフとも整理した内容を含めて共有したいと思います。

そもそも、ここでいう困難事例とは、「本人・病気・家族・環境要因で問題・課題の複雑度が高い患者さんのケース」を指していて、在宅医療・介護の分野ではよく使われているフレーズです。困難事例なんて存在しない!という主張をされる他職種の方もおられますが、あくまでシンプルな医療・介護のサービスを提供するのみで落ち着く事例とは異なる、という意味で、困難事例というフレーズを私は使うことを好みますので、ご容赦ください。ただ、困難事例と言ってそのまま思考停止にして問題自体を考えないことはよくないので(しばしば起きる事柄なので・・・大変ですね〜と言って考えきれないから別のわかりやすい仕事に着手してしまってしばらく期間をあけてしまうという・・・)、困難事例というタグをつけた上で、思考・探索を進めていく姿勢を前提としたいと思います。

では、困難事例で解決しやすいものについて、先に例示していきます。困難事例というからには、決してシンプルな状況ではないのですが、こちらについては、サービスの組み立て方や制度の使い方、今後の展望が比較的パターン化しやすい状況のように思います。例えば・・・

・身寄りがない、もしくは親戚が遠方である独居高齢者の支え方

・比較的こだわりや自身ペースのある老老介護の支え方

・金銭面が苦しくなっている認知症独居高齢者の支え方

・家族が一定の受け止めをしているが病院ではスムーズに緩和ケアのコーディネートをされていない癌末期の在宅看取り事例

などがそれにあたると考えています。身寄りがない場合は、後見人制度を念頭にマネジメントしていきますし、老老夫婦のこだわりであれば、歴史を紐解くことで解決の糸口を見つけていきます。こういった事例で、もし通り一辺倒なケアのアイデアを提示したり、介護サービスを提示するだけのマネジメントだけをしてしまう専門職の場合だと「難しい・・・」と感じると思いますが、後見人という制度の理解と進め方や、老老夫婦のこだわりの紐解き方が念頭にありながら在宅医療介護サービスを入れていく分には、比較的ワークしていくように思います。また、金銭面が苦しくなっている場合は、一定本人の金銭への価値観もありますが、最終的には生活保護も視野にマネジメントしていく手段を考えます。癌末期の在宅看取り事例についてはもちろん難しさはどれもありますが、家族が一定の受け止め・覚悟がある事例の場合、看取りの作法・流れを伝えて伴走すれば一定在宅看取りは完遂できます(在宅のお看取りには一定作法がありますが、これはまたの機会に)。

では、今度は困難事例で解決しにくいものを見ていきましょう。

・複数の家族の考え・思惑が異なっているケース

・多職種の間の考え・方針がずれているケース

・本人のこだわりが強すぎるケース(生活保護には落ちたくない、サービス拒否の度合いが非常に高い など)

例えば、複数の家族の思惑が異なっていると、ある日どんでん返しのような方針を言ってくる別の家族があらわれたりします。長男・次男・長女でそれぞれ思っていることが異なり、目線合わせもできていないケースなどは、関わる職種が困惑するような事態になりやすいです。こういった場合、その前から違和感があったり、ちょっとした言動の歯切れの悪さや、あれ?と思う瞬間があるので、それをもとに早めに情報を集めるのが賢明と思っています。ただし、集める情報もあまりに多いので、情報過多になりやすい印象です。(傾向として、富裕層だったり、遺産相続がらみが背景にあることもあったりする、という話が情報交換をさせてもらった他の職種からも聞かれました。)

多職種の間の考え・方針がずれているケースは、例えば、ある職種は在宅困難と考えて施設を推し進めるのが筋だとし、もう一方の職種は本人が望むように自宅にギリギリまでいさせた方が良い、と考えるという状況がわかりやすいかと思います。いわゆる信念対立が起きている状況ですが、お互いに持っている情報が異なったり、大事にしたい方針が異なりますので、なかなか話し合いを促すのにも苦労します。こういった状況が時々起きていることを考えると、そもそも事前に価値観のあうチームを集めて在宅患者さんに取り組むのがよいかなと思います。シンプルなケースではそれほど顕在化しませんが、複雑性の増す事例には、多職種の間でズレがあると非常に厳しい舵取りを強いられる印象です。

また、本人のこだわりが強すぎるケースも許容できる範囲であればいいのですが、金銭関係だったり、必要なサービスが拒否されすぎて命の危険まで出てくると大変になります。どのレベルまで本人のこだわりを大切にして、公的サービスとして支えるか?は、しっかり話し合っていかないと難しい場合が多いです。

まとめますと、困難事例で解決しやすいものについては、シンプルなサービス提案の域を越えたケアマネジメントが必要ではあるものの、まだ試行錯誤でなんとかできるイメージがあります。困難事例で解決しにくいものは、もちろん試行錯誤でどうにもならないでもないのですが、さまざまな人の思惑や信念対立が間にあるため、それを調整・交渉していくことに骨が折れる、という意味では、やっぱり難易度が高いのかな・・・と思います。

同じ困難事例という表現でも、解決しやすいものかしにくいものか?

日頃から在宅医療・介護に携わっている方は是非考えてみてください。

そうめんのつゆと薬味のはなし

お疲れさまです。夏至も過ぎ、いよいよ暑くなってきました。

cakesで「樋口さん、どれがいちばんですか?」という連載をやっているのですが、明日の更新テーマは「そうめん」です。そうめんについての詳細はそちらの記事を参照していただくとして、こちらでは「めんつゆ」と「薬味」の話を。

めんつゆは以前、かんたんな作り方をcakesの連載でも載せてもらったんですが、それは濃口しょう油を使ったものでした。正直、そうめんつゆ(とうどんつゆ)にはうすくちしょう油の方が合います。

うすくちしょう油は開封して時間が経つと酸化が進み、濃口醤油よりも味が落ちやすいので、濃口とうすくちの2本を台所に揃えてくださいと、以前はなかなか言いづらかったのですが、今は酸化防止ボトルに入ったうすくちしょう油が市販されています。使用頻度が少ない家でもこれなら大丈夫。というわけで、めんつゆの作り方です。

めんつゆ
水    250ml
うすくち醤油 50ml
みりん    50ml
昆布     5cm角
かつお削り節 ひとつかみ    

普段、いちいち計ったりしないでしょうから鰹節と昆布はあえてざっくりとした分量表記にしていますが、めんつゆの基本は出汁5:しょう油1:みりん1です。うすくちしょう油を使うと濃口よりも塩分量は多くなるので、バシッと切れ味のいい仕上がりになります。

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作り方はかんたん。すべての材料を鍋に入れて、中火にかけます。昆布は事前に水に漬けておくとさらによし。沸騰してきたら弱火に落としてことこと2分間煮出します。

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ザルで濾します。

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ボウルの底を氷水にあてて急冷します。出汁の香り成分は揮発性なので、急冷するのがポイントです。市販のめんつゆはパッケージに詰めたり、殺菌する工程で香り成分の多くが揮発してしまうので、やはり味が落ちます。そのため少量を食べるたびにつくる、というのがベストなのです。

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おまけ 昆布を水で戻していない場合はうま味がまだ残っています。出し殻に水を足してことこと3〜4分煮出せば二番だしが引けます。何かに使いましょう。

薬味のはなし

そうめんには薬味が欠かせませんよね。

そうめんの薬味について考えるといつも思い出すのは檀一雄のエッセイ。

ただ、ソーメンをスメ(ツユ)に浮べてすすりこむだけでは、口にはおいしいにちがいないけれども、夏バテするにきまっている。
そこでソーメンをすする時にも、少し奮闘して、さまざまな薬味を、ソーメンのまわりにならべながら、さすがは我家のソーメンだと、亭主をびっくりさせてみることにしよう。
薬味のサラシネギは誰でもつくる。ゴマを煎って、叩きゴマか、半ずりのゴマにしておくならば、薬味は二品ということになるだろう。

こんな風に壇は切り出し、次々と薬味を作っていきます。今日はそれに少し習って薬味を作っていきましょうか。まずはサラシネギ。

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サラシネギはネギを半分に切ってから、できるだけ薄く切るのがポイント。小口切りでもいいのですが、少し小さい方が味として馴染みます。

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冷水にさらして準備完了。

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ザルで水気を切ればOK。これが晒しネギという薬味です。

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ゴマも真似しましょう。すり鉢とすりこぎがあれば当たってもいいのですが、包丁で切るのが簡単です。これを切り胡麻といいます。檀一雄はエッセイのなかでついで干ししいたけをめんつゆで煮るのですが、干し椎茸がなかったので省略。

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代わりにかいわれ大根を切ってみました。これで三品。

もう一品、鶏の挽肉を100グラムきばって、ソーメンのツユを煮上げたついでに、そのつゆを少し手鍋にとり、挽肉を入れ、いりつけるようにしてひと煮立ちして、すくいとるならば、薬味は遂に四品となる。

なるほど、なるほど。そうめんには肉っ気がないので、鶏の挽き肉も良さそうです。炊いていきましょう。

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鳥の挽き肉は1パック130g〜180gで売られています。レシピに100gとあるからそれだけ煮るのも不合理です。今日は127g煮ていきます。

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鍋に挽き肉を入れたらめんつゆを100ml程度+水50mlか、二番だし100ml、しょう油大さじ1/2強、砂糖大さじ1/2強を注いで、箸で崩します。箸で混ぜながら強火にかけます。

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沸いてくると次第に挽き肉に火が通り、煮汁が澄んできます。

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火が通ったら挽き肉を取り出します。これで鶏そぼろの出来上がり。

唯今、鶏の挽肉をすくいあげたが、そのあとに濃厚なダシが残るだろう。そこでナスをせんに切り、水によくさらして、充分にアクを抜いてから、その濃厚なダシで、煮付けるならば、薬味は堂々五品になる。
手順さえよろしくやれば十分か十五分の奮闘ですむことだ。

鶏の煮汁でナスを煮る。いいアイディアです。いただきましょう。小さめのナスを1本用意しました。

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せんに切り、とありますが、薄切りにします。

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水にさっとさらしてアクを抜きます。昔のナスと今のナスは品種が違い、アクが少ないので、短時間さらせばOK。

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煮汁で炊いていきます。ナスが多いな、と思うかもしれませんが、煮るとしんなりして小さくなるので大丈夫。

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ナスはスポンジ構造をしていて、そのほとんどが空気なので、加熱すれば小さくなります。

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くたっとやわらかくなれば出来上がり。これで五品目です。

あと一品、お子様にも喜ばれるように、サラダ油かごま油を使って、炒り卵をつくておこう。すると薬味の皿数は六品になる。

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次は炒り卵。フッ素樹脂加工のフライパンに卵1個、砂糖小さじ1、うすくち醤油小さじ1を入れて溶きます。

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箸でかき混ぜながら中火で炒りつけていきます。

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鍋底から卵をはがすようにします。写真くらい固まってきたら火を弱火に落としてさらに炒りつけます。

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ポロポロのそぼろ状になれば出来上がり。これで六品。

事のついでだ。ダイコンおろしをおろしておくなら薬味がとうとう七品ということになった。

なんと大根おろしまで。せっかくなので、檀一雄に習って大根をおろします。

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大根おろしをつくるときは皮は剥かないで大丈夫。味にはたいして影響しません。

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茶こしなんかで水気を切っておきます。これで大根おろしは出来上がり。

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そうめんを茹でたらずらりと並べましょう。

何だっていいのである。ソーメンをすする時にも、さまざまな副菜を用意して、ソーメンのツユに浮かべたら、たのしくもあり、ゆたかな感じになり、夏バテを防げるということだ

cakesの連載でも引用しましたが、たのしくもあり、ゆたかな感じになる、というのが料理の本質。例えばこのそうめんの場合は鶏の煮汁でナスを煮る、というちょっとした工夫で、仕上がりがぐっと美味しくなっています。毎日の料理、決まりったものばかり作っていると気分も上がってきません。ちょっとした工夫とアイディアで、日々をたのしく、ゆたかにしてきたいものですね。

変わる20代の”ビールを飲む動機”。クラフトビールがなぜ若者の心を掴むのか?〈ビール専門家佐藤翔平さんが解説〉

”若者のビール離れ”が叫ばれる昨今。

そんな中でも、順調に市場を拡大している「例外的存在」がクラフトビールです。

実は過去にも日本ではクラフトビール流行した時代がありました。

最初は1994年の規制緩和をきっかけとした1990年代半ばに起きた第一次地ビールブーム。他業種や第3セクターからの参入が多く、主に海外からブルワーを呼び、全国各地のビール業者が醸造技術を学んだものの、技術が未成熟でブームは下火になってしまいました。

それから15年ーー。

醸造業界内で技術ある人材が育ち、2011年頃からの「ちょっといいもの」を楽しむ”プレミアム志向”の市場が拡大し始めます。品質・鮮度管理の良いアメリカを中心とした海外ビールの輸入も後押しし、「クラフトビール」という言葉が使われ始めます。

こうして起きたのが第二次クラフトビールブームだったのです。 

そして今、自宅で過ごす人が増えた結果、再びクラフトビール市場が盛り上がりを見せています。

ただし、そこにはかつての”プレミアム志向”だけでは説明できない若者のクラフトビールを買う動機が隠れていたのです。

「クラフトビールの種類の豊富さも含めて、今日本では急激に!クラフトビール市場が拡大している」と解説するビアジャーナリストの佐藤翔平さんが、「お酒を飲まない時代に若者がクラフトビールを飲む理由」を解説してくれました。

フードペアリング インストラクター 佐藤翔平さん
「酸っぱいビール」に衝撃を受け、4000種以上のビールをティスティング。10以上の酒類関連資格と調理経験を活かし、フードペアリングに関する執筆や「ビアジャーナリストアカデミー」「アカデミー・デュ・ヴァン」等のセミナー講師を務める。
日本地ビール協会公認「シニア・ビアジャッジ」として国際ビアコンペでの審査も行う。

選ばれるのは、苦味以上に»ジューシー!?»トロピカルジュース的に進化したクラフトビールの凄さ

「現在、クラフトビール先進国のアメリカで流行ったものが日本の市場でも見られるようになる”法則”が生まれています。特に日本で流行っているビールの一つにヘイジーIPAというものがあります」

「これは、その見た目も含めてトロピカルジュースのようなビールで、一般的なビールにはない甘やかさやジューシーさを持つのが特徴です」

「一口で言えば、2020年代に支持を集めているクラフトビールは、”ビールっぽくないビール”というのがキーワードです。いわゆる居酒屋で乾杯するようなラガービール好きとは違った層にもクラフトビールのファンが急増しているのです」

「また、パッケージのデザイン性が高いことも流行の後押しになっています」

いわゆる”ジャケ買い”が無視できないレベルで若者がクラフトビールを買う強い動機となっているのです。

ここからは、佐藤さんにその一例をご紹介いただきました。

◆アタタタタァ!忍者チョップのように弾ける美味しさRevision Disco Ninja

「缶を見てください。ディスコで踊るダンサーの姿が描かれています。こうした個性的なデザインが増えている中でも、Revision Brewingは特に人気が高いです」

◆動的なカタログ。SNS映えは業界トップ うちゅうブルーイング

「見た目が美しい、SNSに思わずマネして投稿したくなる写真が特徴のうちゅうブルーイング。その人気から生産が追い付かず、商品がオンラインショップで掲示されてから1分もしないうちに完売してしまいます」

◆ビールに見えないラベル部門1位。注いでも味わいの個性が際立つ West Coast Brewing

「ビールに紫色を組み合わせるケースはなかったのではないでしょうか。こうしたアート的なラベルとロゴは、”うまそう”という感情を惹起するよりも、むしろ部屋に飾っておきたい、写真を撮りたいというまさにアートを眺める気分にもさせるようです」

◆動物ラベルが多いクラフトビール業界。集めても楽しい”猫” ねこぱんち

「クラフトビールのパッケージには、動物がモチーフのものも多いんです。犬や猿、やぎ、魚類や鳥類、、、猫のキャラクターを使っている商品も目立ちますね。Craft Beer Company「ねこぱんち」は「しろねこぱんち」などシリーズ化されていて面白いです」

◆猫シリーズ二発目。溺愛なんです ねこにひき

「なんと自分たちの飼いネコをラベルに乗せちゃいました!猫好きオーナーのコラボビールです」

20代の若者はどこでクラフトビールを買うのか?

「よく、若者はどこでクラフトビールを買うんですか?と聞かれます。特に最近はコンビニが熱いです。「よなよなエール」や「僕ビール君ビール」をはじめとしたヤッホーブルーイングの商品、「銀河高原ビール」ブランドなど日常的にクラフトビールが目に入るようになりました。」

「他にも大手ビールメーカーの作る様々なテイストの商品や、「常陸野ネストビール」「COEDOビール」ブランドを代表とした日常的にクラフトビールに触れる機会が増えたことで、その良さに気づく人が増えたのです」

その後、クラフトビールを知ったファン層が、SNSに写真を投稿。ここから市場の急激な拡大をさらに後押ししているのです。

「ビジュアルにも注目なクラフトビールは、現代の若者の消費行動と相性がよいのです。おしゃれなカフェでアフタヌーンティーを食べてSNSに写真をアップするように、クラフトビールも”優秀な被写体”として20代の若者に消費されるようになったのです」

Instagramでは、クラフトビールだけを投稿するアカウントも少なくないとか。

「意外なところでは、Facebookにクラフトビール好きのグループがあり、そこはほぼ毎日飲んだビールを投稿されており、情報交換したいクラフトビール好きが集まって盛り上がっています」

「こうした人たちのことはビアギーク(クラフトビール好きが自身や仲間を指す時に使う呼称)と呼ばれ、#クラフトビール好きと繋がりたい、#ビールで明日を幸せに、#ビアスタグラムといったハッシュタグで検索すれば見つけることができます」

味わいを含めた高いデザイン性とSNSとの相性のよさ、そしてオンラインコミュニティの形成が昨今の若者のクラフトビールブームを生んだようです。

「自宅でSNS映えして、オンラインで好きな仲間とつながれるクラフトビールは、”おうち時間”が長引く時代にも強烈に若者の消費活動を牽引していく存在になるでしょう」